「デイケアーの2日」

デイケアーの一日 その二

昼食はデイケアーのなかでも楽しみの一つだ。食欲のない人や飲み込むことが困難な
人などのほかは、皆さんが楽しみにしている。分量はそれぞれの健康状態が考慮され
た献立になっているが、一般よりは少なめだ

施設の栄養士さんもいる厨房で調理され、すべてがやわらかく薄味でどんな魚でも骨
は細いものまで完全に抜いてある。家庭の料理とは味も舌触りも違う。こうした点に
不満をもらす人もいるが、私は妻が亡くなってから永い間の一人だった頃の生活に比
べ、はるかに旨いと感じている。

自分で食べられる人が大部分であるが、なかには手が不自由な人、ひどくむせる人な
どには食事中つききりで介助をしてくださる。またそういう人には食後の歯磨のとき
も入れ歯の着脱を口の中に指を入れてまで面倒をみてくださっている。

1時半頃になると全員でラジオ体操が始まるが、立ってやるのは私だけで他の皆さん
は腰掛けたまま手足を軽く動かしているだけであまり乗り気でない。そのあと午前中
に入浴やリハビリの済んでいない人はそれらを、その他は施設向きに作られた頭の体
操の問題が印刷されたペーパーが配られたり、塗り絵、折り紙、手芸、カラオケなど
、さながら大人の幼稚園だ。

私はこれらのことはほとんどできないのでカラオケで歌うグループで歌っている。人
気のあるのはムード歌謡で、毎回多く歌われている。

私には画面の歌詞が見えないので覚えている歌しか歌えず、毎回同じような歌を歌っ
ているがそれでも曲に乗って歌うと楽しい気持ちになるものだ。歌詞の記憶があいま
いになってしまったので何れも殆ど森田さんにパソコンで送っていただいた歌だ。

琵琶湖周航の歌 真白き富士の根 惜別の歌 アザミの歌など若いときから好きな歌
で、他の人はこれらは歌わないので安心して繰り返し歌っている。

3時になるとおやつとお茶がでるが、お菓子などは一般に食べられている大きさの半
分くらいのものが一つ出るだけなのだからもの足らない。運動量が少ないのでこれで
よいのだろう。

その後、全員で簡単なゲームが始まる。輪投げ、ゴルフ、ボーリング、玉投げ、すご
ろくなどだ。どれも一般のものとは全く異なる。ゴム風船のように軽い玉や、一辺が
50センチほどもある大きなさいころを床に転がしたり、ペットボトルのボーリング
のピンな3メートルほど離れて置かれているなどで幼児でもらくにできるようなげー
ムだ。手足に後遺症のある人や視覚障害者の私でもどうにかできる。

こうして軽く体を動かすだけでもリハビリとしては腰掛けたまま過ごすよりは、はる
かに健康に良いと思う。殆どの人がラジオ体操のときとは違ってこれには、いやがる
様子もみられず参加し結構喜んで童心に返って歓声などをあげている。

こうして4時になり、一日を終わって朝と同じように方向別に同乗し帰宅の途に着く
。

今回はここまでにしておきますが、次回は私が要介護者となりデイケアーの生活で感
じていることについて、いくつかまとめてみたいと思っています。暫くは過ごしやす
く、なにをするにも気持ちよくできます。皆さんどうぞご健康にお過ごしくださいま
すように。
              2012年 10月9日 TIさん 
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